ISOは「経営方針・目標浸透ツール」
ベクトルの方向を合わせ、個々の力を結集してはじめて組織の力が発揮される事になります。しかしながら経営方針や目標を最末端まで浸透させ、徹底させ、さらにそれを維持する事は容易ではありません。ISO:2000年版はこのマネジメントを強く意識したシステム。
これまでなかなか同じ方向を向かなかった社員も「品質」に関わる重要な一員であることを意識せざるを得なくなり、自分もISOシステムを支えているという自覚が芽生えるはずです。
そして継続的に改善する事で目標を持ちつづけることを可能にします。風通しの良い組織になってくれば、自ずと団結心が熟成される事は間違いありません。
ISOから経営課題が見えてくる
ISOがわかるから経営課題が見えてくるのです。ISO品質保証システムからISO品質マネジメントシステムへの改訂が2000年版の全てを物語っていると言えます。
つまり、同じ品質を安定供給する仕組みで良しとしてきた、「守りのISOシステム」から経営と同様にマネジメントしながら改善していくことに重点を置いた、「攻めのISOシステム」へと進化した、というよりも本来のISOの考え方が全面に出てきたことで経営課題ツールとしての位置付けが明確にされました。
敢えて言うならば、経営課題の解決ツールとして堂々と使えるようになったという事です。
経営方針は浸透していますか?
経営課題として最初のポイントが「経営方針の浸透」です。ISOの重要な考え方であるPDCAサイクル。
Plan→Do→Check→Action
このPDCAサイクルを回すことがISOマネジメントサイクルですが、ISOでは次のステップとして「システムの継続的改善」を推進します。
特にActionの段階で「顧客満足」を分析する点は見逃せません。今まで行ってきた活動が、果して顧客を満足させることができているかどうかは非常に重要な指針となります。
いずれにしても、様々な方針は毎年見直すべきであるのと同様にように、経営方針も毎年見直すべきなのかも知れません。身の丈に合っていない、社員に浸透していない経営方針ならなおさらです。
ISOで経営方針を浸透させるには
ほとんどの企業には「経営方針」があります。しかし、その経営方針が、末端の社員まで浸透し、実践に役立てられているかというと、かなり疑問です。
この「経営方針」を「浸透」させるツールとして、ISOが役に立つのです。組織風土を考えてみましょう。組織風土の中で是非とも考えてほしいのは、「感謝の気持ち」です。
今、自分がこうしていられるのは、
・自分を雇い仕事を任せてくれる会社があるから。
・自社の商品を買ってくれる顧客がいるから。
・社内の他の部門の協力があるから。
などと考える「感謝の気持ち」です。ISOでは「顧客に対する感謝の気持ち」を重視します。組織風土として「感謝の気持ち」が熟成することが方針の徹底に結びつくのです。
目標管理の制度化
例えば、目標管理をISOマネジメントシステムの中で制度化して、管理者に明確な責任と権限を与え、継続的改善を実施し続ける。
これはまさに経営そのものです。しかも、この根底には顧客志向が流れているのです。うまく機能すればこんなに素晴らしいシステムはありません。
是非とも組織に求められる課題解決の経営ツールとしてのISOマネジメントシステムの構築を実現したいものです。
「管理者を育てたくば、責任・権限を与えよ」です。何度も言うが、責任だけを与えて権限を与えないことは、かえってやる気を削ぐ事になるのでご注意ください。