ISO取得目的の本音と建前

ISO本音と建て前
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ISO取得企業の本音は「本根」?

ISOの導入を考えるとき、企業の本音とはどういうことでしょうか?企業のホンネとは、その企業に「本来根ざしている」課題・問題、つまり「本根」です。この「本根」を明らかにすることが企業がすべきことであり、それを解決するためのソリューションツールとしてISOが活用できるのです。

ISO2000年版では文書化しなければならないものが減少し、企業が負担に感じていた点を軽減する措置が取られています。その代わりに、顧客満足が強化され、継続的に改善していくための手法を取り入れなければならないなど、新たな要求事項もありますが、この2つは企業が本来抱えている課題―「本根」です。

顧客のことなど考えない。一度作ったら放ったらかしのシステム。これを明らかにしなかったこと、課題としなかったことこそが問題なのです。

ISOは経営課題解決ツールになりえます。「顧客満足の考え方の定着」「継続的なシステム改善の実施」この2つが常時行われている状態を作り出すだけでも有効なソリューションツールであるとお気づきいただけるでしょう。

 

ISO取得の本来の目的は?

どんな組織にも目的があるように、ISO取得にも何らかの目的があるはずです。ここでは、ISOの取得目的と企業が抱える課題について本音と建前の観点から述べます。

ISO取得を目指した企業の大半は「トップダウン」による決定です。トップたる経営者がISO取得を決定し、組織へ命令する。そこで問題となるのが「ISO取得目的」です。

ISO取得目的の本音

ISO取得目的の実例を挙げてみます。

A会計事務所はISO取得に際して、所長が以下のように考え、所員に伝えました。

「今年の目標を『監査マニュアル作り』としたものの、なかなか進んでいない。監査マニュアルは、将来の会計業界の2極化に備えて、記帳代行業務ではなく経営指導役となるために、監査システムを構築し、経営助言業務へのステップアップを図るために必要不可欠。

実はF会計事務所から「ISO」の話があった。ISOのシステム(規格要求事項)そのものが、企業経営において必要な仕組みであり、構築過程を通じて顧問先の経営指導に役立つノウハウを得る事ができる。他の事務所との差別化を図る為にもISOを取得し、監査システムを構築する。」

一見、建前のようにも聞こえるでしょうが、「本音」なのです。本音で語ったからこそ、所員の多少の困惑、反発があったものの、7ヶ月という短期間でのISO取得が実現しました。

ISOを取得せざるを得ないケース

元請や行政指導によりISOを取得せざるをえなかった(仕方なく取得した)ケースです。

建前は…ISOを取得しなければ仕事がなくなってしまう。
本音は…ISOを取得してもどうなるものでもない。

このように感じてISOを取得した企業は、残念ながら価値的なISO取得とはいえません。ISOを取得したことにより、そのシステムを運用することやISO審査費用が重荷になるだけでしょう。

しかし、建前は同じでも本音が違う場合はどうでしょうか。

建前は…取得しなければ仕事がなくなってしまう。
本音は…うまくやれば業績が上がるかもしれない。

このケースは、本音と建前が違いますが、社員には、建前の考え方が浸透してしまい、ISO運用面においておぼつかなくなることは明らかです。

ISOは「本音=建前」で!

「建前」を広辞苑等でみてみると「一応の方針。表面的な原則」とあります。この対義語が「本音」です。つまり、「本音」と「建前」は一般的には相対する言葉として使われます。

しかし、企業の理念、経営において、社員のやる気を喚起する為には「本音=建前」でなければなりません。「建前」が理念にならなければなりません。

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