ISOでの「レビュー」

ISO規格を読み替える魔法
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ISO的「レビュー」とは?

ISOでは「レビュー」というキーワードが頻繁に登場します。日本語訳では「見直し、確認」ですが、ISO用語説明集によると「レビュー」とは次のように書かれています。

「設定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性を判定するために行われる活動」また、「レビューには、効率の判定を含むこともある」というのです。

単なる日本語訳の「見直し、確認」よりも踏み込んだ意味ですね。だから「レビュー」なんです。

ISOでは同じように日本語訳では言葉の意味が伝わりにくいので、そのままの言葉がよく使われています。例えば、「目標管理」の視点でのレビューという言葉は以前から使われていますが、単なる打合せやヒアリングではないのです。

ここで言う「レビュー」とは、対象となる社員に対して事前に「どういうことを聞こうか」「何を指導しようか」と考えておき、レビューの場で実践するのです。大きな違いは「必ず、指導しよう」という点。

管理者の仕事は「部下の育成にある」と言われますが、部下の育成の為には指導が不可欠です。つまり、適切性、妥当性及び有効性を判定し、指導のため(次のステップのため)に活かすのです。ISOでは、次のステップへ活かさなければならないという意味で「レビュー」なのです。

ISO的「マネジメントレビュー」

ISOでいう「マネジメントレビュー」とは「経営者による見直し」です。ISOシステムを構築していくにあたり、かなり重要なポイントです。もちろんマネジメントレビューを実施していなければISO審査は受けられません。

定期的と決めてあっても、その期日を待っているとISO審査時期がかなり遅くなってしまうので、大抵の場合は臨時のマネジメントレビューを行ないます。この「臨時で行なう」旨をISO品質マニュアルにも書き添えておく必要があります。

というのも、ISOマネジメントレビューは経営者が気になる事を部下に命令し改善していく活動であるので、日頃から行なわれている事項なのです。

ISO内部監査などの大掛かりなシステムに関する報告があった場合はもちろんのこと、経営者は日頃よりISOシステムに関わる責任(コミットメント)があるのです。

但し、経営者が直接マネジメントレビュー記録を作成する事はないでしょう。指示を受けた者が作成するようにしてはどうでしょうか。

ISOマネジメントレビューはインプットとアウトプットがあります。見直すわけですから情報が必要で、ISO規格が求める情報があったのかなかったのかが記録として必要です。

また、アウトプットも然りで、ISO規格が求める見直し項目をする必要があるのかないのか。これらは一般で使用する議事録をマネジメントレビューの記録とすると項目が漏れる可能性があるので、専用の様式を作成し、ISO規格が求める項目が(有・無)と明確になるようにするとよいでしょう。

ISO9001:経営者とISO14001:経営層の違い

ISO9001規格では5.6項ですが、同様にISO14001規格では4.6項(規格要求事項の最後)に該当します。ところが、ISO14001では「経営層による見直し」と訳されています。

「経営者」と「経営層」の違い?ISO14001ではTop management(最高経営層)との違いを明確にしたいため(のよう)ですが、実は翻訳の違いどおり、違った解釈がなされている場合があります。

ISO9001では経営者―つまり社長が一人で見直しを行えばOKで、後の実施を誰かに任せる方法が一般的です。

ところが、ISO14001は経営層―つまり役員や幹部などを含む「経営層」でなくてはならないと解釈されているケースがあります。

あるISO関係の書籍でこのように書かれており、ISOマネジメントレビューは経営層で見直さなければならないと説明した審査員もいました。

でも、ISO9001同様に、社長個人が行っても良いという審査員もいます。原文は英語であり、日本語訳は非常にわかりにくい。ここに解釈の違いが出るのでしょう。どちらも間違いではなく、審査員次第ということもあります。

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