ISOの「是正」「予防」

ISO規格を読み替える魔法
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ISOシステム最後の砦が「是正処置・予防処置」

ISOでは「是正処置・予防処置」という考え方がシステム化されます。この「是正処置・予防処置」はISO規格要求事項の最後の項目です。

つまり継続的な改善を実現していくための「最後の砦」のようなものです。この処置内容次第で顧客満足度は上がりもすれば、下がりもするのです。

ISOシステムの中では非常に重要な考え方であると同時に、組織をより顧客志向へ引き上げるためには決して手を抜けない部分となります。

ISOでは「再発防止」が是正処置

ISOの是正処置で大事なのは「再発防止のための不適合原因の除去」なのです。一度考えてみていただきたいのですが、業務上のミスやロスは結構繰り返されてはいないでしょうか?

「そういえば、前にも同じようなミスをした」などという経験は誰にでもあるでしょう。ミスが再発しているということです。単に再発防止するのではなく、「確実に除去する」ところがISOのポイントです。

そのためにまず、内容を確認し、次に原因を特定し、単なるうっかりミスなのか、それとも再発の可能性があるのかを判断し、是正処置つまり再発防止を確実にするための処置を施すかどうかを評価する。

実施したら、その一連の記録を残すのは当然、効果が上がったかどうかを見直すところまでを要求しているのです。

ISOの是正処置で顧客満足度が上がる

ISOの是正処置の考え方は、全ての不適合に対して是正せよというのではなく、再発防止を確実にする必要性があるかどうかという視点からミスやロスを防ごうということなのです。

そのためには原因の特定が不可欠なのはご理解いただけるでしょう。ここがISOの大きな特徴です。単に不都合を解消するにとどまらず、「なぜその不都合が発生したのか」を追及し、その原因から取り除こうとするからこそ再発防止が可能になり、顧客満足度が上がることになるのです。

ISOでは「是正」も「予防」も同じ

ISOでいう「予防処置」も「是正処置」と同様で、大切なのは「原因の特定」です。違いといえば「既に発生した不適合なのか」「今後起こりそうな不適合なのか」という点。

しかし、あるひとつの不適合をとらえて、その原因を追求し、他の業務にまで及ぶのではないかと思いを巡らし、処置を考える。起こりそうなミスやロスを防ぐのだから、この予防処置にまで目が行き届くようになれば、それだけでもISO導入の価値があるといってもいいくらい、顧客満足の達成には大いに貢献できることは間違いないでしょう。

ISO的「予防処置」とは

「予防処置がなかなか発生しない」という声をよく聞きます。ISOにこれから取り組むといった方のために、簡単に「予防処置」に関して解説します。また、「予防処置」に対して「是正処置」もあるので、双方を解説しておきたいと思います。

先ず、「是正処置」とは「不適合やロス、ミスが発生した場合に、再発防止のため、これらの不適合やロス、ミスの原因を除去する処置をとること。」と定義できます。

次に、「予防処置」とは「不適合やロス、ミスが発生することをあらかじめ予測し、防止するためにその原因を除去する処置を決めること。」と定義できます。

つまり「是正処置」は一度発生した事実「顕在的要因」に基づく再発防止策であり、「予防処置」はまだ発生していないが、是正処置が必要な顕在的要因や社会環境の変化、法改正などにより、「今、こうしておいた方が良いのではないか」という予測による対策、つまり「潜在的要因」に基づいた発生防止策です。

要は、予測に基づいて手立てを打たねばならないため、常に「予防処置」という考え方を持っていないと、なかなか処置を施すことが出来ないでしょう。

ISOの予防処置を簡単にする方法

予防処置を難しくしてしまっているのが「潜在的要因」の考え方です。実は、ISO構築中や運用中の社内で「こんなことが起こるかもしれないから手順を変えておこう」という文書改訂や、「フォーマットに手順を書いておけば皆同じように書けるのではないか」「もっとこういう風にしたら業務が進めやすくなる」などの改善作業こそ、「予防処置」なのです。

結局のところ、予防処置の記録を残すか残さないかによると言えるでしょう。例えば、「毎月1回会議をしているのだから、その時に品質目標の進捗状況確認を行おう。

でも、会議の議題で話し合うことを忘れるかもしれないから、議事録に【品質目標の確認】とあらかじめ入力しておこう。」など2点の予防処置事項を同時にやっているケースもあります。

お金を使った処置や、たいそうな処置を予防処置と考えずに、実は身近に行っている業務を予防処置として捉える感性があれば、予防処置はいくらでも生まれてくるものです。

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