ISOの基本「5つのS」

ISOで経営課題解決
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ISOの基本は5S

ISOの規格に直接は書かれていませんが、ISOを推進していく上で欠かせないものが「5S」です(ISO規格の原文は英語のため、日本語の5Sはありません)。

当初は、製造業等で3Sとして「整理・整頓・清掃」が基本となっていました。これに「清潔・躾」が加わり5Sとなったものです。順に5Sの各項目をISOではどう活かしていくかについて説明します。

ISOの基本5S:その1「整理」

先ずひとつ目の「整理」とは「要るものと要らないものを区分けし、要らないものを撤去すること」です。整理のコツは「必要か必要でないか、重要か重要でないか」などを考えることから始まります。

これらを考える時の判断基準が「時間」です。書類整理を例に挙げてみると、長期間置いておくものと、しばらく置いておいて考えてみようというものに大別できます(このしばらく置いてあるもののほとんどが要らないものだったりします)。製造現場などでは「今使う材料」と「後から使う材料」に区別されます。

これが整理であり、職場管理の基本は「整理」から始まるのです。

ISOの基本5S:その2「整頓」

2つ目は「整頓」。「整頓」とは「必要なものを必要な時に、効率よく取り出せるような状態にすること」です。ポイントは「何が、どこに、どのようにして置かれているか」で、それぞれに担当者を置くと良いでしょう。

さて、なぜ整理が必要なのか。それは、無駄を省くためです。整頓が出来ていないと無駄な在庫品が眠っていたり、欲しいものがすぐに見つからず、無駄な時間を消費します。

つまり、仕事を進める上での無駄を省くことを考えて実践するのが整頓。

整頓されている状態をイメージして下さい。色が並んでいたり、同じ種類のものが同じ場所に置かれていたり、きちんとラベルが貼ってあったり、見た目にもきれいで、取り出しやすい状態ですね。

整頓が得意な人は、人格までキッチリして見える。逆に机の上がいつも乱雑で、どこに何があるか解らないような状態の人は、そのような性格だと思われがちです。

整頓は自分や周りの人が便利になり、自分の評価をも上げる手段になります。

ISOでは整頓、特に文書が整頓できていないと、審査の時にはスムースな進行が阻害され、最悪の場合、必要な文書や記録がなかなか出てこないというだけで、審査が中止される場合もあります。

キッチリと整頓されている会社は、人間の評価と同じく、何事にもキッチリした会社だという良い印象を受けやすいものです。

ISOの基本5S:その3「清掃」

3つ目は「清掃」。「清掃」とは「仕事場にゴミがなく、汚れていないきれいな状態にすること」です。ポイントは、必要ないもの、使っていないものを処分する、ゴミを無くす、汚れを取ることです。しかし、もっと効果的な方法は「ゴミを出さないこと」「汚さないこと」。

清掃は手や体を使って行いますが、ゴミを出さない、汚さない清掃では、目や耳、五感、頭を働かせるのです。

五感を働かせて、汚れているところを探すと「汚れているところ」=「清掃しにくいところ」=「改善の必要なところ」がわかり、「その最も効果の大きいところが発生源」だとわかるのです。「元を断つ」―これが基本です。

ISOでは作業環境で触れます。仕事がしやすいような作業環境、もちろん床が油で汚れていたり、水でぬれたりしていては危険が伴います。

また、言うまでもなく清掃されている状態を審査員が見れば、良い印象を持つに違いありません。

きれいに清掃された現場で働くのは気持ちがいい。皆が「汚さないようにする、清掃する」ことで協調性が醸成し、そこで働く社員の活き活きとした姿こそ会社の財産となるのです。

また、会社の資源(ISO9004では資源として、人、インフラストラクチャー、作業環境、情報、供給者及びパートナーシップ、天然資源並びに財務資源の7つを取り上げている)を大切に考えてください。

ISOの基本5S:その4「清潔」

4つ目は「清潔」。「清潔」とは「整理・整頓・清掃がいつも維持されている状態を保つこと」です。ポイントはモラルとルールにあります。

服装や身だしなみ、設備や備品の置き場所、通路に物を置かない、取り出したものは元の場所へ戻す、チェックリストを作るなど数え上げたらキリがありません。

会社が清潔に保たれると、社員の気分がよくなり、会社が明るくなってやる気が生まれると言われますが、そうなるためには一つの重要なプロセスがあるのです。

それは、一度徹底的にキレイにするということ。普段ではそこまでやらないような「頑固な床のシミを取る」「はげたペンキを塗りなおす」など、一度ピカピカにキレイにすると気分が変わります。キレイになると気持ちがよい。

もしもキレイなものを汚してしまったらすぐに拭く(拭いてしまう)など、汚さないように注意するようになるのです。単純な心理ですが、やるかどうかが成功の分かれ目と言えるでしょう。

ISOではルール決め、チェックリストの活用などが主ですが、これらの事はある一定レベルまで社員のモラルが上がれば、必要なくなります。推進のためには「品質目標」の一つとして取り上げてみることもお勧めします。

ISOの基本5S:その5「躾(しつけ)」

最後の5つ目が「躾」。「躾」とは「会社の規律やルールが正しく実行できるように習慣づけること」です。仕事の進め方について、手順やチェックリスト、ISOマニュアルを作成することはもちろんの事、これらのルールを全員で確認することが重要です。

先に述べた、整理・整頓・清掃・清潔の状態の基準が明確になっており、常に守る習慣をつけることです。「ちょっとぐらいなら…」「これくらいなら…」が入り込まないルール作りが決め手となります。

もしも例外を設けるならば、時間的なリミットを設けると良いでしょう。ISOでもまったく同じ事をすると良いのです。

「躾」とは「身が美しい」と書きます。靴は脱いだら揃える、使ったものは直すなど、自身の行動を美しく保つことが必要です。

余談ですが、「躾」という言葉は、子供の教育に使われることが多いです。一部の親が「しつけ」と称して、殴る、蹴るの暴行を加えているというニュースを耳にします。

果して、殴る、蹴るの行為が「美しい」でしょうか?是非とも「躾」という言葉の持つ意味を、認識してもらいたいものです。

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