ISO文書化の基本

ISO本音と建て前
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ダンボール1箱分のISO文書

先日、ある社長が不安そうに話しをされました。せっかくの機会なのでISOについて聞きたいというのです。もうすぐISO導入後、はじめての定期審査があるらしく、どうも不安なようです。

一度、ISO文書を見せてくださいと言うとすぐには無理だとのこと。理由を聞いてみると相当な量のISO管理文書で簡単には持ってこれないと言うことでした。それならとこちらが足を運んで保管書庫を拝見して驚きました。

ISOマニュアルだけでも3センチはあるでしょう。管理文書全体ではダンボール1箱はあったでしょう。確かにこんなもの容易に運べるはずもありません。もっと言えば、どう活用しているのかは甚だ疑問です。

ISO文書化の基本

ISOの文書化を難しく考える必要はありません。ちょっと考えてみてください。「伝言ゲーム」をご存知でしょうか?最初の人が言った言葉を一字一句違わずに次の人へどんどん伝達していくゲームです。

数人を介してみると、微妙にニュアンスが変わっていることがあります。ところが、メモでもなんでも良いから文書で回すと、当たり前ですが最初も最後も同じ内容になるのです。

「文書で回す」これが規格要求事項「組織全体に伝達され、理解される」ということなのです。

ISO文書のリストラ

「ISOは紙が増えて大変!」などとよく言われます。確かに審査を考えながらのシステム構築ですので、「こんな手順書がいる」とか「あれも文書化しておいたほうがいい」ということになり、「念のための文書」が多くなるものです。特に、何度か審査を受けるうちに、審査員からの指摘もあり、更に増えることにもなりかねません。

でも、心配は要りません!

ISOの審査を受ける頃はどうしても無難な準備をしますので、さほど必要ないような文書が多くなりがちですが、何度か定期審査の経験を積むうちに、どうしても必要なものと、強いて文書にしなくてよいもの、いくつかの文書を統合して簡素な文書にリストラすべきものが見えてきます。ISO文書の統廃合は常に心掛けることが肝心です。リストラとスリム化はISOの永遠のテーマなのです。

ISOは業務の可視化=フロー

最初はISOの勉強会的なものが実施され、併せてISO取得目的やISO取得後の効果が知らされます。なるほど良さそうなシステムだと理解し始めます。

続いてISO規格の理解です。これがなかなかすんなり受け入れられないものです。今まで使ったことの無いような単語のオンパレードです。特に卸売業やサービス業には馴染まない言葉が多いのです。

それでもISO取得後の理想の組織像を思い浮かべて、必至に耐えています。このISO規格の解釈と並行して現状業務をフロー化することを行います。現在の手順がどうなっているのかを可視化するためです。

業務フローをつくるには業務を分解しなければなりません。この業務分解作業の段階で色々な発見があります。例えば同じ業務に携わっている社員でも業務の流れが違ったり、会社のルールと違うヤリ方が発見されたりと意外とおもしろいんです。

これらを集めて正しい業務の流れを考えます。もちろん皆で考えます。業務フローが完成すると、実際にISO文書を作成し始めます。ここで大きな壁にぶつかるのが一般的です。普段使わない単語を自社の業務に置き換えていく作業は片手間ではほとんど進みません。

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