ISO9001:2000年版規格と「QMS」の意味

ISO9001&14001規格読替要領
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ISO規格はなぜ難しいのか?

ISO取得に欠かせないのが、当たり前ですが「規格の理解」です。ISO9001:2000規格の日本版がJIS Q 9001:2000です。ご存知、製品によく付けられているJISマークのJISです。

日本版は英文であるISOを訳しているので、変な・難しい日本語が多い。つまり、いろいろな解釈が出来てしまうということです。何度も繰り返し読まなければならないのか4から8項。

ISOシステムを作るために必要である、概要から始まって、経営者として何をすべきか、人・モノ・金・情報をどう活用するか、製品を作る・サービスを提供するために必要なポイント、更に改善していくために必要なことが詳細にかかれてあります。この難しい言葉を解りやすく説明する出来るのがISOコンサルタントなのです。

ISO9000s:1994年版とISO9001:2000年版

ISO9000s:1994年版では「品質保証システム」でしたが、ISO9001:2000年版では「品質マネジメントシステム」となっています。

一定の品質の製品・サービスを提供するために、標準化されたISOシステムを作るという観点から、マネジメントのためのISOシステムになったという点だけでも大きな変化です。

また、ISO9001:2000年版では必ず文書化しなければならないものが減少し、企業が負担に感じていた点を軽減する措置が取られています。その代わりに、顧客満足が強化され、継続的に改善していく為の手法を取り入れなければならないなど、新たな要求事項もありますが、この二つは企業が本来抱えている課題ではないでしょうか。

顧客のことなど考えない。一度作ったら放ったらかしのシステム。これを明らかにしなかったこと、課題としなかったことこそが問題だったのではないでしょうか。

ISOはソリューションツールになりえます。「顧客満足の考え方の定着」「継続的なISOシステム改善の実施」この2つが常時行われている状態を作り出すだけでも有効なソリューションツールであるとお気づきいただけるのではないでしょうか。

顧客満足の仕組みとしてのISO9001:2000年版

皆さんも既にご承知のとおり、ISOにはシステムとしてこの顧客満足を達成することが要求されています。つまり、顧客満足を高めなければならない仕組み作りが求められているということです。

更に言えば、これまでISOが根底にしていながらも、なかなかはっきりとは要求していなかったことをISO9001:2000年版から敢えて表に出してきたのです。

具体的には本来の顧客ニーズは一体何なのかを図り、それを分析し、商品やサービスにどう反映させるのか、そして本当に満足して頂けたかどうかの調査を行い、その結果をもって更に顧客満足度を高めていくという流れです。継続的にこの作業を繰り返すことによって顧客満足を向上させ続けることが可能になるのです。

ISO9001:2000年版の全体感

表面的には9001~9003の9000シリーズが統一され、全てが同じ規格によって審査されます。2000年版のポイントは、経営者の責任が重みを増し、顧客志向が更に強まったことです。

新たな項目としては、顧客満足・顧客不満足を確認するためのモニターやアンケート等の実施が定義づけされています。

「社員の商品説明等に満足しているか」等の質問を顧客にする必要が・・・

その他、言葉の定義も変わり、ISO品質マネジメントシステム下請負契約者は供給者に、供給者は組織に、新たな言葉では妥当性確認など、1994年版と比較しないとさっぱりわからない言葉が多くなっています。

ISO9001:2000年版の主要な変更点

ISO9001:2000年版での主要な変更点は、トップマネジメントのコミットメントと顧客満足とが一段と重みを増し、組織内のプロセスが重要視され、継続的改善の諸概念が取り入れられたことです。

ISO規格では次のように記述されています。

「組織を成功するように導き、運営するためには、統計的で目に見える方法によって運営管理することが必要である。すべての利害関係者のニーズに向けて、パフォーマンスを継続的に改善するように設計されたマネジメントシステムを実行し、維持することで成功を納めることができる。組織を運営管理するということは、さまざまなマネジメントの規範の中でも、とりわけ品質マネジメントを取り込んでいることである。品質目標の達成を促進するための品質マネジメントの八つの原則が明確にされている。」

ISO9001:2000年版の文書化はたった6つ

ISOといえば文書化!しかし、この「文書化」がISO導入の拡がりを遅らせている原因でもあります。つまり、一般的に、ISOの導入は多くの文書を作成することを意味するのだと考え、取得への挑戦に踏み切れない企業が多いということです。

しかしながら、ISOで文書化を要求されているのはたったの“6つ”です。
ちなみに、

1.文書の管理
2.記録の管理
3.内部監査
4.不適合製品の管理
5.是正処置
6.予防処置

です。それ以外は組織の判断ということになっています。これまでのように文書や記録に囲まれたISOシステムでなく、まさに組織の実情に合わせたISOシステムづくりが現実的になった大きな改正点です。

ISOでの「QMS」という意味

ISO品質マネジメントシステムは「Quality Management System」の頭文字をとって「QMS」と呼ばれます。

「Quality」とは「質」です。日本語で「品質」と訳されると「製品の質」であると「勘違い」してしまいがちですが、製品の質なら「Quality of product」となるはずです。

あくまでも「Management System」なのです。ということは、経営の質、業務の質、社員の質など経営に関する様々な「Quality」が重要ということになります。

大きな誤解は、ISO9001を導入すると品質が良くなるという勘違いです。確かに製品の品質向上も目指そうという考え方はありますが、それ以前に「Management」の質を管理するためのISOシステムであるという考え方を持つことが「QMS」を最大限に活かす秘訣です。

最悪のISO:QMSの「Q」

ISO「QMS」の構築過程で間違った取り組み方を紹介します。

ISO「QMS」の構築にあたり、ISO規格要求事項をコンサルタントや審査員の言うがままにシステム化すると、ISOを運用するうえで、今までの手順とまったく違った、「窮屈(Q)」なシステムになってしまいます。

最悪のISO:QMSの「M」

例えば、書店に行ったり、ISOコンサルタントからもらったりして、他社のISOマニュアルを引用し、ほぼそのまま「真似して(M)」使ってしまうことです。

最悪のISO:QMSの「S」

結果として、やらなければ良かったと感じてしまう「最悪(S)」のシステムになってしまった。これらを「最悪のQMS」と呼びます。

最良のISO:QMS

1.社員を巻き込んで、皆が「協力し合って(協調性)(Q)」構築し、
2.現状の「まま(M)」を規格に基づいて解釈し、システム化し、
3.「シンプルな(S)」システムを作り上げること。
これが「最良のQMS」ということになります。

ほんとうのISO:QMSの姿

ISO「QMS」は自社の現状に沿った形で構築されなければ意味がありません。ISOによる新たな仕組み(ISO規格要求事項)は、本来取り組まねばならない課題を明確にして、再構築し、実践することで課題解決へとつながることを要求しているのです。

いきなり、新しい考え方や、改善事項を盛り込んでしまうとISOの運用がは大変です。改善とは運用しながら取り組んでいくものです。ゴチャゴチャしたISOシステムは混乱のもと。「QMS」は「シンプル イズ ベスト」なのです。

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