ISO9001特有の解釈

ISO9001&14001規格読替要領
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ISO的「組織」と「供給者」

ISOでいう「組織」と「供給者」、ISO9000s:1994年版ではISO9001:2000年版の「組織」の事を「供給者」と呼び、供給者の事を「下請負契約者」と呼んでいたのです。

ISO9000s:1994年版は、製造業中心の規格と言われるように、モノや材料を買う、仕入れる、外注という「購買」行為は、下請負契約の元に行われていると言う考え方でした。会社は顧客にモノを供給する供給者だったのです。

しかし、会社が購買するモノは、下請だけでなく、対等または自社以上の会社から仕入れる事もあります。とてもじゃありませんが、下請負契約者ではありません。

組織にモノを供給してくれる「供給者」なのです。だから、供給者と呼ばれていた会社が組織になったのです。ISOは会社単位ではなく、事業所・組織単位でも取得が可能なので、最小単位の「組織」になったのです。

ISO的「トレーサビリティー」

ISOでいう「トレーサビリティ」とは「考慮の対象となっているものの履歴、適用又は所在を追跡できること」と説明されています。ISO9001:2000年版では、7.5.3項 識別及びトレーサビリティには、「トレーサビリティが要求事項となっている場合には、組織は、製品について固有の識別を管理し、記録すること。」とあります。

つまり、ある製品がどこで誰によって作られ、工程はどのようにして進み、出荷後の製品はどのようにして配送され、現在どこにあるかというようなことがわかるようにしておきなさいということです。

形のある製品には、一般人にはわからないように固有の記号が打ってあり、クレームになった場合に、究明できるようになっている。これがトレーサビリティで、前項で述べた「記録」が非常に重要な役割を担うのです。

記録がなければクレームが起こっても、その原因が把握できず、その後の処置が適切に行えなくなります。また、是正処置もとれなくなり、同じミスが繰り返されるかもしれない。

これらの予想される様々な事項を各工程の随所でチェックし、記録として残しておくことで、最終的には製品のレベルアップにもつながるのです。

では、サービス業の場合はどうでしょうか。サービス業では提供したサービス自体に識別番号をつけることは難しい。

だから、記録としては、社内で様々なフォーマット等に記録として必要な事項を残しておくことになります。その中にはお客様と直接会話した内容、時間、場所なども記されていることもあります。

ISO的「顧客所有物」

ISO規格でわかりにくいのが「顧客の所有物」。ISO規格の7.5.4の参考として「顧客の所有物には知的所有権も含まれる」とあります。例えば、会計事務所が仕事として知りうる顧客の資産内容などのデータや情報は顧客の所有物にあたります。

しかし、試算表としてアウトプットしてしまえばそれは製品になりますので、製品になるまでの間の社内での管理方法が問題となります。そのあたりを手順化できればOKです。

コピーをもらってきたとしても、社内で試算表になるまでの管理は必要な事を考えるとコピーも立派に顧客の所有物です。

ですが、そこまで定義してしまうと、管理が大変でしょう。仮に紛失した場合は電話一本で再度もらっても、そんなに問題になる資料でなければ大丈夫でしょう。

問題は、顧客と事務所の間で「渡した」「渡していない」のやり取りが発生する場合でしょう。もし損傷したり紛失したりすると問題があるものは、しっかりと「顧客の所有物」として双方共に確認する手順が必要です。

一般的には預かり表や監査報告書などに「預けました」という捺印をもらったり、「預かりました」という捺印をしたりしたものを顧客に渡したりするのが良いでしょう。

最初はなれない手順なのでめんどくさいでしょうが、多くのトラブルは「言った、言ってない」「渡した、渡してない」なのです。事前に防ぐ予防処置としての効果もあるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

ISO的「データの分析」

ISOでの「データの分析」。かなり難しく考える方が多いようですが、ポイントはISO規格に書かれてある4つです。

a) 顧客満足
b) 製品要求事項への適合性
c) 予防処置の機会を得ることを含む、プロセスと製品の特性及び傾向
d) 供給者

a)は顧客アンケートなどにより、顧客満足度を調査した結果を分析して次の改善へつなげること。b)で悩まれるようですが、製造業や建設業なら原価計算報告書などの製品に関する報告事項です。

つまり、一般的に社内で報告している事項がイコールb)となり得ます。難しく考えずに、現在社内で報告されているものの内、製品に関するものは何かを考えてください。

c)は不適合やクレーム報告書などを参考にしたり、製品が持つ独自の特性などを考慮したり、分析したりして次にどうするかを考える事。

実は予防処置報告書的な書面で上がっていないだけで、「こうなるかもしれないからこうしておこう」的な指示事項はこれにあたります。即ち対策会議等が該当するでしょう。

d)は仕入先や外注先のデータ。外注先の不良発生率や、仕入先の誤発送率など、品質にかかわる内容や供給者選定の際の条件となるような項目の事です。

これらの事は改めて行なうと大変なので、今使っているものを以下に有効活用するかがポイントでしょう。報告書としてISO専用の様式とする必要はないですよ。

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