ISO審査Q&A:経営者・方針・目標・顧客関連

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ISO審査Q&A:経営者のコミットメント

Q:5.1 経営者のコミットメントにおいてa)法令・規制要求事項を満たすこと及び顧客要求事項を満たすことの重要性の周知をした証拠はどのようにすることがわかりやすいのでしょうか?

 

A:同じ経営者のコミットメントとして「b)品質方針を設定する」とあります。このISO品質方針の中に、「法規制を守り」とか、「お客様が満足して買って頂けるものを・・・」、「顧客満足を目指して・・・」とかのキーワードを盛り込み、ISO品質方針を社員に周知する(掲示・配付など)ことで、経営者のコミットメントの証拠となり得ます。

ISO品質方針は、出来るだけシンプルにしようという考え方もありますが、他の要求事項と同様に、「一石二鳥・三鳥」を目指して、ひとつの実施事項が複数のISO要求事項を満たすような仕組みも方法のひとつです。ただし、上記のことを理解していないと、審査でチグハグな答えになってしまいますよ。

ISO審査Q&A:マネジメントレビューのアウトプット

Q:マネジメントレビューのアウトプットについていつも悩みます。言いたいことはたくさんあるのですが、精神論的なものが多くなってしまいます。処置結果を報告させるような項目が少ないのですが・・・。

 

A:精神論的なもの、大いに結構です。本来マネジメントレビューとは、経営者自身がQMSに関して年に数回、様々なインプットにより見直しを行い、指示を出すことです。「年々クレームが減っています。この調子で頑張って下さい。」でも良いのです。

マネジメントレビューの記録として、結果報告を持って完了とした上で、審査を迎えたいということでしょうが、経営システムとしてのQMSに対する社長の指示こそがマネジメントレビューのアウトプットです。

一部の社員に対する改善指示も大切ですが、全社的に発表する経営指針的なものこそ、本来のマネジメントレビューのアウトプットです。

ISO審査Q&A:マネジメントレビューはプロセス

Q:マネジメントレビューはプロセスであるという意味が良く理解できませんので教えてください。

 

A:マネジメントレビューは経営者が意思決定し、どのような指示(アウトプット)が出るかが、最重要ポイントです。出力するためには、どのような情報が必要かを検討し、報告事項(インプット)としてまとめることが求められます。

注意したいのは、インプット情報として過不足があるかないかとか、出しっぱなしのアウトプットのように「記録があればよい」という状況になっていないかどうかです。

繰り返しになりますが、最も大事なのは、「有効なアウトプット」が出たかどうかです。このように「入った情報を変換(判断)して指示を出す行為」という意味でプロセスということになります。

ISO審査Q&A:経営資源

Q:「経営資源」とは具体的に何を指していますか?また、提供していることを示すための内容は、どの程度記述すればよいのでしょうか?

 

A:経営資源の例としては、

1.人的資源及び特定の技能
2.設計及び開発の設備
3.製造設備
4.検査・試験及び調査のための設備
5.コンピュータ及びソフトウェア

があげられます。これらのうち、組織として必要な項目を列記し、顧客要求事項を満たす上で、必要に応じて経営者が関与するしくみのもとで調達することを宣言することです。

その中で、特に“人の質”についての教育・訓練の重要性を強調し、トップ自らのバックアップがあることを見えるようにすることが大切だと思います。

ISO審査Q&A:品質方針の変更

Q:品質方針を基本方針とし、品質目標のみを変更することは問題がありますか?また、品質方針のレビューを毎年実施した結果10年以上品質方針に変更がなくても問題ありませんか?

 

A:ISO9001の5.3のa)~e)を満たしているならば問題はないでしょう。また、品質方針のレビューに関しては、品質方針は品質マネジメントシステムの最終ゴールでもありますので、長期間にわたり変更されな いことも考えられますので、問題はありません。

変更される場合として、企業の吸収合併や事業活動の変更、周辺環境の変化などが挙げられます。5.3 e)では、そのような場合に適切性をレビューしましょうと言っているのです。レビューした結果必要性が生じた場合にのみ変更をすればよいのです。

ISO審査Q&A:判定可能な品質目標

Q:品質目標を立案する際、“判定可能”の取り入れ方に議論が生じます。例えば「クレームゼロ」を目標にすると1件でも発生すると目標未達成になってしまいます。どうすればよいでしょうか?

 

A:確かに、クレームはゼロであるべきでしょうが、現実としてゼロを目標とするには達成度が100%か0%かになってしまいます。そこで、達成度を意識した二つの方法を例に挙げて見ましょう。

ひとつめは、万が一クレームが発生した際の達成度を決めておく方法。例えば0件は100%、1~3件は80%、4~6件は60%という風に。

ふたつめは1ヶ月単位で発生した月のデータ取りをする方法。12ヵ月の内クレームが発生した月が2ヶ月あれば2/12で達成率は83%。

このように、達成度を判定する基準を計画段階で決めておく方法もあります。“発生したらどうする”という考え方を取り入れてみてください。

ISO審査Q&A:顧客アンケート

Q:顧客アンケートを実施し、顧客満足度を測定していますが、全顧客に対してアンケートを実施する必要があるでしょうか?

 

A:顧客満足というテーマは非常に大切です。例えば、社会福祉サービス業などの場合、知的障害者に対してアンケートを実施することが適切かどうかという問題があります。

「我が社にとってシステム上の顧客とはそもそも誰だろうか」あるいは「顧客満足の情報を得るためには誰にアンケートを取ればよいか」と「顧客そのもの」を再度、認識し定義し直す必要があると思います。

さらには、形式的にならないように顧客満足を高めるにはどうすればよいかというレベルまで、しっかりと検討することが最も大切なことだと思います。

ISO審査Q&A:建設業の顧客所有物

Q:当社は建設業ですが、顧客所有物の管理とはどうすればよいですか?

 

A:先ず、顧客所有物は何かを明確にしましょう。増改築・リフォームの場合は、既に使用されている家具や、増改築しない部分の建物や付属物です。新築物件の場合は、顧客が購入してきた電気や設備が該当します。

これらの管理は、適切な養生を行うと共に、識別(顧客所有物であるということと、どこに設置するかなど)の必要があります。

また、洩れやすいのが、「土地」です。建売住宅の場合は、土地も自社所有物ですが、解体・新築工事の場合は、土地が顧客所有物になります。

一般的には、仮設計画を立て、バリケード等で保護していることでしょう。更に、土地に立っている木々や、塀・フェンスなどにも注意する必要があります。製品の保存とも関係しますが、管理は顧客所有物として管理するか、製品として管理するかは明確にしておいたほうが良いでしょう。

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