ISO審査のQ&A:目標・責任者・PDCA・クレーム

ISO審査対応Q&A
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ISO審査のQ&A:目標設定

Q:「トップマネジメント(社長)は組織内のそれぞれの部門及び階層で品質目標が設定されていることを確実にすること」となっていますが、組織全体として設定することは要求されていないのでしょうか?

 

A:ISO規格では組織全体の目標を設定することは要求されていません。組織全体の目標の役割は、組織内のそれぞれの部門及び階層での目標設定のための枠組み(方向付け)を与えることです。この方向付けが「ISO品質方針」ということになります。

トップマネジメントにはISO品質方針の中に品質目標の設定とそれらのレビューのための枠組みを含めることが要求されています。つまり組織全体の品質目標設定の役割を品質方針の設定の段階で含めているということになるのです。

ISO審査のQ&A:管理責任者の代行

Q:次のような管理責任者の実務をアウトソースすることは可能なのでしょうか?
1)サーベイランス等における審査機関や審査員との直接交渉。
2)マネジメントレビューへの管理責任者としての参加。

 

A:ISO規格の5.5.2の要求事項により、ISO管理責任者は「トップマネジメントは管理層の中から任命する。」こととあります。従って、アウトソース可能とは読み取れません。

但し、管理者層にISO管理責任者の適任者がいない場合には、新規に管理者要員を採用して、ISO管理責任者に任命することは可能です。「管理責任者代行請負います」などと案内を出してくるISOコンサルタントがいるらしいですが、先ず「何のためのISOか」を考えれば、社内でISOシステムをいかに回していくかという事に辿り着くでしょう。

ISO審査のQ&A:複数の管理責任者

Q:ISOの原文には書かれていませんし、様々な見解があるようですが、ISO管理責任者は「複数でも可」なのでしょうか?

 

A:ISO9001:2000年版改訂の際に議論の対象になりましたが、解釈としては「組織によっては、それぞれの組織単位ごとあるいは地域ごとに品質マネジメントシステムを管理する人を任命した方が適切である場合」があります。

審査機関によっては「副」のISO管理責任者を任命することにより、正の管理責任者が不在の時にISO管理責任者としての役割を遂行できるシステムとして奨励する場合もあります。

要するに単数か複数かは組織の判断であり、大切なことは、ISO品質マネジメントシステムに対する全体的な責任に関して、曖昧さや矛盾が生じないようにすることだと思います。

ISO審査のQ&A:PDCAを回す

Q:ISOでいうプロセスアプローチとしては、「品質保証体系図」の考え方が理解しやすく、QMS全体でPDCAを回すという考え方はわかりますが、それぞれのキープロセスの中でPDCAを回すというのはISO規格の参考であって、ISO要求事項ではないのではないでしょうか?

 

A:ISO規格では必ずしもPDCAを回すことを明確に要求してはいません。しかしながら、
5章:経営者の責任(Act,Plan)
6章:資源の運用管理(Plan,Do)
7章:製品実現(Do,Check)
8章:測定、分析及び改善(Check,Act)
というように章立てにはPDCAを回すことが意図されていることがわかるでしょう。教育・訓練のように力量を明確にし(Plan)、教育・訓練を実施し(Do)、その有効性を評価し(Check)、内容を見直す(Act)というものもあります。

ISO規格で必ずしも要求しているわけではありませんが、継続的改善を進めるためには必要な事項だと思います。

ISO審査のQ&A:減らないクレーム

Q:ISO9001を認証取得したけれど、顧客クレームは減らず、効果が出ていないように思うのですが?

 

A:業績改善を目的にしてISO認証取得されているところではそれなりの成果を認識しておられますが、「認証取得」を目的にして取り組まれた組織では往々にしてこのような結果になることが多いようです。

組織の中にある様々な問題に対して改善の計画、実施、監視、対策までの活動を含んでいるのですから、基本的には「効果が出る」ように作られたISOシステムのはずです。

「効果が出ない」と認識されたのなら「なぜなのか」という原因を調べ、改善する取り組みが不足しているのでしょう。苦戦するかもしれませんが、効果が出るまで改善するシステムがISOなのです。ISOシステムの運用は「規格ありき」でなく「問題の認識と改善への取り組みありき」です。

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